2014年11月04日

カセットテープのCD化開始(1)

tape-cd01.jpg


 かつて…かなり前ですが、あるNHK-FMで遙か前に放送された"Let's Sing a Song"という番組を大量(多分50本以上)に録音したカセットテープが我が家には残っています。以前からCD化のことは考えていたのですが、今やカセットデッキ(家電・車載)も見かけなくなり、聞けない状況になりつつあるので、重い腰を上げて開始することにしました。 実はこの数ヶ月の間にお二人の年輩の方(私も…)から、偶然にもそれぞれカセットテープ数本のCD化の依頼をされました。我が家のカセットデッキは壊れていて、ラジカセもなく、職場のCDラジカセ(!)を借りてデジタル化、そしてCD化をしました。
 同じ方法をとっても良かったのですが、問題は全てのテープがDolby-Cで録音してあるということです。

tape-cd02.gif

(R)


 簡易的には、テープ再生時に高音を落としてやるか、デジタル化してCDに入れる前に高音を落としても良いのですが、Dolby Noise reduction Systemのノイズ低減システムはそんなに単純なものではありません。


ドルビーBタイプ
Aタイプを基に簡略化し、民生用で使える仕様にしたもので、最も普及している。ヒスノイズが耳につく高い周波数の入力音声信号を、テープに記録する際にレベルを上げて記録(エンコード)し、再生するときには元のレベルに戻して再生(デコード)する。これにより、聴感上ヒスノイズが低減される。ただし単純にレベルを上げるだけでは、大きな入力レベルの時に飽和を起こしてしまい、まともに記録できない。そこで、大きな音の時にはノイズが聞こえにくいという、人間の耳のマスキング効果を利用し、入力レベルが大きい時には倍率を上げず、小さい時には倍率を上げる、圧縮記録の考え方を用いている。最も入力レベルが小さい時には150Hz付近からレベル上昇させ、5kHz付近でのS/N比が約10dB改善されるように設定されている。
メリットは、S/N比の改善、ダイナミックレンジの拡大である。デメリットは、テープまたはデッキの周波数特性に乱れがあるとそれが拡大される、録音時にバイアスと録音レベルの調整を正しく行わないと正しく再生されない、パンピング(動的副作用)と言って、パルス性の信号(キックドラムや木琴などのように立ち上がりが速くて響きが時間的に短い音)に対して、再生時に追従しきれずにノイズが聞こえてしまう、などである。また、体感的な問題として、音がこもりやすいというのも良く挙げられる。
なお、デッキ(特にCタイプ登場前の比較的古いデッキ)に記載されているドルビーノイズリダクションの表記として、「DOLBY NR」や「DOLBY SYSTEM」と書かれているものは、このドルビーBタイプに相当する。
日本ビクターが開発したノイズリダクションシステム「ANRS」は、このドルビーBタイプと互換性がある。

ドルビーCタイプ
民生用。概念的にはBタイプノイズリダクションシステムを2回通したのと同じで、効果も2倍である。ドルビーBタイプは高域のみのノイズ低減効果を実現したものだが、Cタイプでは高音に加え中音域のノイズ低減も実現している。
さらにCタイプでは、過大信号が入力されたときに磁気飽和することを防ぐ目的で伸張操作を行い(アンチサチュレーション)、これにより歪みにくくなる。これらの操作により、入力信号のスペクトラムの山谷は小さくなる。その結果録音レベルを高く設定することができ、より高いノイズ低減効果を得ることができる。
ノイズリダクションの効果がBタイプより大きいため、ノイズリダクションを経由すると発生する音質の変化もBタイプに比べて大きくなるデメリットがある。
Bタイプとの互換性はないため、Cタイプで記録したテープをBタイプしか装備していない再生(録再)機器で再生すると、高域が目立つ再生音になり、逆にBタイプで記録したテープをCタイプ対応の再生機器で「Cタイプのスイッチを入れて再生」すると、逆に高域がこもった再生音になる。ただし、Cタイプの回路をBタイプに切り替えることは簡単であることから、Cタイプの内蔵機器のほとんどは、Bタイプにも対応している。
ラジカセ、ヘッドホンステレオなどのローエンド機やカーオーディオまで幅広く普及したBタイプに比べ、Cタイプは中〜高級機でのみの搭載となる事が多い。
ちなみに、日本においてバブル景気全盛の1980年代末期〜1990年代最初期には、ごく一部の高価格帯のCDラジカセやヘッドホンステレオなどにもCタイプが搭載されていた。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%AB%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%8E%E3%82%A4%E3%82%BA%E3%83%AA%E3%83%80%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0

 オリジナルのままデジタル化し、その後にコンピュータによってDolby-Cのフィルターをかけるということは理論的には可能で、世界中に同じことを考えている人は多いようですが、権利の問題があってドルビーラボラトリーズ社がそれを認めていないのでできません。

 音声にこだわらないならば、イコライザーである程度調整することは出来ますが、50本も処理するのですから、準備をきちんとすれば、後味よく作業を終えられます。

 そこで、Dolby-Cの機能を持ったカセットデッキをハードオフで買うことにしました。予算の関係もあり、ちゃんと動けば多少の「難あり」でも良いと思い購入したのが、ONKYOのK-185という機種です。

tape-cd03.jpg

 横幅が狭くパソコンの隣に押し込むのに適しています。音量レベルメータさえありません。録音時のレベルを調整することも出来ません。(他のコンポーネンツと接続して調整するのか、あるいはCDからのコピーしか想定していないのか…よく分かりません。)しかし、これで録音をすることはありませんので、全く録音が出来なくても構わないのです。
 ジャンク、2160円也、でした。オートリバースなのですが、B面の再生時の音が小さいというのがジャンク扱いの理由のようです。購入後自宅で利いてみる限り、耳で感じられるほどのワウフラッターもないようでした。

 パソコンに読み込んでみました。

tape-cd04.gif


 下がA面(約30分)、上がB面(約20分)です。
 ピークレベルがほぼ、0dbになっているのは、何度か試行して録音レベルを調整しておいた結果です。もちろんソフトウェアであとから正規化などをすれば同じ結果になりますが、少しでも混入するノイズを「後から増幅する」ということを避けたいからです。

 気になるのは左右のレベル差です。録音時のレベル差はが正確だったか否かは、今さら分かりません。(録音時に、モノラルのトーン信号でも入れておけば良かった、と後悔。)
 ただ、このジャンクK-185の左右の再生レベルが異なっていることは充分に考えられるので、モノラルのテープを再生・デジタル化をしてみれば分かるのですが、周囲を見渡してもモノラル録音のテープがありませんので、今回は良しとします。

 デッキ購入の最大の目的であるDolby-Cの効き具合はどうなのか、興味のあるところですので、調べてみました。
 B面の20分のあとの無音部分(多分、購入の後、何も入れていない)箇所を再生してみました。

tape-cd05.gif


 左から、
無録音部分再生(Dolby Off)
無録音部分再生(Dolby C)
再生停止
録音部分再生(Dolby C)
です。

 無録音部分でこんなにノイズが出ているとは驚きました。ただ、dBって確か対数表示ですから、それなりの見方をしなければいけませんけど、素人にはあまり実感が分かりません。
 さすがにDolby Cを機能させると、中・高域のノイズが消えます。18kHzあたりのノイズがさすがに消えていませんが。
 再生停止の時に、35Hzにノイズが発生しています。K-185の電源プラグを抜いて(メカニカルな電源スイッチはないので、Power offにしてもスタンバイのパイロットランプが点灯している)も、このノイズは表示されるので、サウンドボードがパソコンのノイズを拾ってしまうのだと思われます。
 一番右の録音再生時のグラフは、キャプチャ時にウインドウの高さを変えてしまったのですが、まあ、雰囲気は分かります。35Hzあたりは放送の音なのか、それともノイズなのでしょうか。

 さて50本の処理をするのに何日かかることやら…。



posted by kewpie at 09:38| Comment(0) | TrackBack(0) | ファイル作成
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