UnicodeのWAVE DASH例示字形が、25年ぶりに修正された理由
2010年07月25日に「波ダッシュ」というタイトルで、書いた記事に関連することだったからです。
今改めて自分の文章を読み直してみると、私にとっての「波ダッシュ問題」は、単に「下から上」と「下から上」の2種類の形があって統一性がないことが嫌で、人から受け取った「波ダッシュ」のような形の文字が「下から上」に書き換える手間がかかるということでした。
それに「下から上」は、webの画面上の標準的な文字サイズだと「きれいではない」というのも嫌でした。
また、「9:00〜5:00」と時間帯を示したい場合に「9:00~5:00」と、(半角)チルダを使ったデータを送ってくる人もいます。「○○時から○○時(まで)」の意味だったら、やはり「波ダッシュ」が適切だとも思いました。
実は当時の画像を見ると、次のようになっています。


私の都合はともかく、「全角波ダッシュ問題」の要点は2つです。
1 「全角波ダッシュ」と「全角チルダ」という2つの全角文字(記号)があるにも関わらず、どちらも半角チルダ(~)に対応する2バイトの文字(記号)として処理されてしまう。つまり、1:1の対応になっていないということ。
2 WindowsXP以前のフォントの中に、「全角波ダッシュ」の形が、「上から下」でなく「下から上」となっていたこと。そもそも半角チルダ(~)の形は「上から下」であるから、その形状は不自然であること。「全角チルダ」でないのですから、半角チルダ(~)に形を合わせる必要はないのかも知れませんが、半角チルダ(~)を全角に変換したときに「全角波ダッシュ」になってしまうことがあるのですから、少なくとも「全角波ダッシュ」も「上から下」にならないとDTPなどで困ります。
ようやく今日の本題になりますが、上の「2」に述べた、「全角波ダッシュ」の形状の指定が、正式に「下から上」に変更されることになったということです。実際にはvista以降は「下から上」になっていたのですが、申請者の変更理由で「XPのサポートも終わったので」と述べています。
上のキャプチャ画面と同じように、Atok2010で「全角波ダッシュ」と「全角チルダ」をWindows7で表示してみました。


この通り、実際には2つの文字(記号)は外見ではすでに「上から下」に自主的に統一されていますが、ようやく国際文字コード規格で、「同じ字形」になるわけです。ありがたく思います。
半角チルダ(~)に対して、「全角チルダ」のみならず、「全角波ダッシュ」が対応する全角文字として今後も変換されてしまうケースもあるでしょう。この結果、今後もデータファイル内の検索での混乱があることは変わりません。また、旧来のフォントが入れ替わるには何年もかかることでしょう。
今でも私が受け取る文章の中には、「―(ダッシュ)」の代わりに「ー(長音記号)」を使っている場合もあるくらいですから、「全角チルダ」「全角波ダッシュ」の混同と同様に、こちらが注意をするしかありません。