
その結果、どうもはっきりしない、あるいは間違えている部分が多いことが分かりました。
基本的に、相手の、あるいは第三者の父・母を指して呼ぶときの呼び方…したがって、敬語としての呼び方について主に考えたいと思います。
相手の(あるいは第三者の)父への呼び方 尊父
相手の(あるいは第三者の)母への呼び方 母堂
これだけでも、「御尊父(ご尊父)」「御尊父様(ご尊父様)」などバリエーションがありますが、今回は敬称が重なって使われるとか、「御」か「ご」かなどについては触れないことにします。
さて、この1セットにも2つの説があります。
相手(あるいは話題としている第三者)の男女によって、使用の可否が違うのか否かということです。
相手(あるいは話題としている第三者)が女性の場合に、その父・母を「尊父」「母堂」と呼べるかどうかが、まずはっきりしません。
ご尊父様、ご母堂様は、実の両親に使用します。
では義理の親の場合は…?
この場合は、同じくご尊父、ご母堂を使用しても、
何の問題もありません。
最低限、このように理解し覚えておけばいい、というのなら嬉しいのですが、ちょっと違う書き方をしているページもあります。
父 お父様、お父上様、ご父君、ご尊父様 母 お母様、お母上様、お母君、ご母堂様 (略)
夫の父親 お父様、お父上様、お舅様(しゅうと)、ご令舅様、ご尊父様 妻の父親 お父様、お父上様、ご外父様、ご岳父様 夫の母親 お母様、お母上様、お姑様(しゅうとめ)、ご令姑 妻の母親 お母様、お母上様、ご外母様、ご岳母様
相手(あるいは話題としている第三者)の夫の父親の呼び方として「ご尊父様」があるのに、夫の母親の呼び方として「ご母堂様」がありません。ないから使えないとは限りませんが、可能ならば、入れておいてもよさそうです。
相手(あるいは話題としている第三者)の妻の父・母の場合には、岳父・岳母などが例として上がっています。岳父・岳母は少し面白い語です。
1 妻の父・母という定義が国語辞典にも載っていますが、これは謙譲語として使えます。
2 同時に、敬語としても使えます。(それで上の表にも含まれています。)
従って、
1 結婚している女性(妻)本人が自分の実の父親(母親)のことを「岳父(岳母)」と呼べますし、その夫も妻の実の父親(母親)のことを「岳父(岳母)」と呼べるようです。
2 相手(あるいは話題としている第三者)が男性の場合、その妻の父(母)を指して、「ご岳父様(ご岳母様)」と呼べそうです。
ただ、
3 相手(あるいは話題としている第三者)が女性の場合、その実の父(実の母)を指して、「ご岳父様(ご岳母様)」と呼べるのかどうかは分かりません。
これは、 「岳父(岳母)」の定義が、「妻の父(母)」となっていて、例えばその女性が結婚していない場合には、「妻」ではないので定義に合わないからです。
この点について、どなたかご存知でしたら教えてほしいと思います。
御岳父
読み方:ごがくふ
別表記:ご岳父
「妻の父」の丁寧な言い回し。「岳父」は妻の父のこと。「山田さんの御岳父が死去されました」という場合は、「山田さんの奥さんのお父さんが亡くなった」という意味。
ここでは、「謙譲語」や「敬語」ではなく「ていねいな言い回し」と説明されています。
次の表は、喪中はがきの差出人としての表現ですので、謙譲表現と考えられます。
本人(差出人)から見た関係 続柄の表記例
配偶者の父母 父、母、義父、義母、岳父、丈母 ※「岳父」妻の実の父 「丈母」妻の実の母
「岳母」がありませんが、「岳母」の使用を否定しているわけではないと思われます。
◆故人への敬称
ご尊父(そんぷ)様 = 受取人の実父
ご母堂(ぼどう)様 = 受取人の実母
ご岳父(がくふ)様 = 受取人の奥様のお父様
ご岳母(がくぼ)様 = 受取人の奥様のお母様
ご丈母(じょうぼ)様= 受取人の奥様のお母様
この一覧自体に書かれていることは一応理解出来るのですが、「受取人の奥様」という点に抵抗があります。
ここでいう「受取人」は、全てが男性(夫)という前提で書かれているのでしょうか。
それとも下の3つだけが男性(夫)で、上の2つは男女に関わらない、あるいは夫・妻に関わらないということなのでしょうか。
もしもそうならば、
ご尊父(そんぷ)様 = 受取人(男女や夫・妻に関わらない)の実父
ご母堂(ぼどう)様 = 受取人(男女や夫・妻に関わらない)の実母
とでも書いてあると分かりやすいのですが。
こういった混乱をもたらしているのは、妻の実の父・母にだけ、岳父・岳母といった特別な呼称があるからです。
夫の実の父・母を指す呼称があれば、バランスがとれて誤解もないと思います。
せめて一覧表で、
ご尊父(そんぷ)様 = 受取人の実父
ご母堂(ぼどう)様 = 受取人の実母
ご尊父(そんぷ)様 = 受取人の夫の実父
ご母堂(ぼどう)様 = 受取人の夫の実母
ご岳父(がくふ)様 = 受取人の妻の実父
ご岳母(がくぼ)様 = 受取人の妻の実母
ご丈母(じょうぼ)様= 受取人の妻の実母
と記載してくれると分かりやすいと思います。
(妻にメールを送る場合もあるでしょう。)
男女で不公平ですが、まとめてみると
夫に向けて妻の父母を指す場合にのみ、
ご岳父・ご岳母、
それ以外は、男女や既婚・未婚に拘わらず、その実父母(義父母)を指す場合には、
ご尊父・ご母堂、
と覚えておけばいいのかと思います。
そして、未婚の女性に向けてその女性の実の父・母を、
ご岳父・ご岳母
と呼べるのか否かが、私には分かりません。