音楽番組「ジェットストリーム」のナレーション部分の作成者です。
上の新聞記事には、ジェットストリームのナレーション原稿に関して次のように書かれています。
シナリオ作家として仕事を続けるうちにテレビから声がかかる。子供のための良質な民話などを数多く手がけ、さらに新しいラジオ番組の制作にも参加する。それが1967年、TOKYO FM「JET STREAM」がスタートした時だった。
「いまだに書いていますから、私の人格の一部はこの放送によって作られたと言えるほどですよ(笑い)。開始当初から、どこで聞いても見劣りしない、本当に質の高い番組を続けていこうという強い思いが、スタッフの全員にありました。
私は数分のナレーション原稿のために、それこそ毎日毎日取材に明け暮れていますね」
世界各国のエピソードを集めるために現地取材はもとより、各観光局をまわり、人にも会い、雑誌、新聞、映画といつも目を凝らして今日に至っている。
だからいつも、気持ちは全世界を見ているのだと堀内さんは言う。
全くの余談ですが、上の記事の末尾には
「11月22日掲載、文:田中美絵・写真:南條良明」
と書き添えられていますが、何年の11月22日なのかが分かりません。
掲載当時は、新聞に掲載された当日とか数日後でしょうから、「今年」だったのでしょうが、いつまでも紙が黄色く変色しないWEBの新聞では「年」を明記してもらいたいものです。
「バックナンバー」というところを開くと、過去の記事の一覧があって2003年または2004年の日付が並ぶのでどうやらそのころの記事のようです。何と、10年以上も前! …2004年でした。
さて、堀内茂男さんというお名前が分かれば、いろいろと調べられます。
ナレーション原稿についてたくさん書かれているのが
http://www.kyudan.com/column/jet.htm
です。(Jetstreamはおまけで、中心は別の内容のサイト)
遠い地平線が消えて、ふかぶかとした夜の闇に心を休める時、 はるか雲海の上を 音もなく流れ去る気流は、たゆみない宇宙の営みを告げています。
満天*の星をいただく、はてしない光の海を ゆたかに流れゆく風に 心を開けば、きらめく星座の物語も聞こえてくる、夜の静寂(しじま)の、なんと饒舌なことでしょうか。
光と影の境に消えていった はるかな地平線も瞼(まぶた)に浮かんでまいります。
日本航空があなたにお送りする音楽の定期便 ジェットストリーム 皆様の夜間飛行のお供を致しますパイロットは 私、城達也です。
(*引用元の 満点→満天 に訂正)
は1970年からで、それ以前は
太陽が沈んでから、もう随分時が流れました。 昼間の騒音と埃に汚された時間は、すっかり宇宙の果てしない暗黒の中へはき出され、今、私たちの周りを音もなく流れている時間は高度1万メートルの空気のようにフレッシュです。
地球の自転によって成層圏で起こる壮大な大気の流れ、ジェットストリーム。 その神秘的な永久運動さえこの純粋な時間の流れの中では、夜の潮騒のように私たちの身近に迫ってまいります。
これからの1時間、日曜を除く毎晩、日本航空があなたにお届けする音楽の定期便 ジェットストリーム 皆様の夜間飛行のお伴をいたしますパイロットは私、城 達也です。
そしてエンディングは
夜間飛行のジェット機の翼に点滅するランプは 遠ざかるに連れ次第に星の瞬きと区別がつかなくなります お送りしてますこの音楽が 美しくあなたの夢に溶け込んでいきますように・・・。 ではまた午前零時にお会いしましょう。 おやすみなさい。
だったとのこと。オープリンリールのテープに保存してあるそうです。
ただし、
浮雲に心を寄せ
大空に羽ばたく鳥を思えば
軽やかな時が流れてゆきます
汚れない上空の風に身を委ね
群がる雲の起き伏しの上をどこまでも行けば
雲海の果て空と雲の溶け合う彼方から
多彩な世界の奏でる美しい音楽も聞こえて参ります
のことは書かれていません。
http://www.kyudan2.com/column/jet3.htm
http://www.kyudan2.com/column/jet4.htm
http://www.kyudan2.com/column/jet5.htm
http://www.kyudan2.com/column/jet6.htm
http://www.kyudan2.com/column/jet7.htm
には、実際の原稿がいくつも掲載されています。
http://www.kyudan2.com/column/jet3.htm
に含まれている
ギラルデリー・スクエア
サンフランシスコの、ギラルデリー・スクエアの前の
歩道の並木の下に立つお前。
自塗りのベニヤ板の、背丈に合わせた箱形のお前。
脇腹にあいた穴ぼこからコインを落とし込むと
顔の前の庇を上げて、下手いラッパをひと吹き。
そして、パタンと庇をおろし
再び黙り込むお前。
ヒューマン・ジュークボックスなんて冗談じやない。
お前はそっくりそのまま、ほかの宇宙から来た詩人なのだろう。
不時着した、お前の小さな宇宙船。
カプセルの中で、さなぎのように不自由なお前が
太陽系の外へ、SOSを送り続けているのが
私には分かるのだよ。
は聞き覚えがあります。手元にあるDVDの中に含まれているからです。
音楽がDVDとは明らかに異なるので、DVDの方のナレーションは放送後にDVD用に再利用されたのだと思います。
このナレーションでもそうなのですが、ジェットストリームのナレーション(詩?)は率直に言って、概して分かりにくい内容で、分かりにくい表現(主に語彙)が少なくないと思います。
理屈も考えずにBGMに浸るように、深く考えずに言葉のシャワーをあびるような感じで聞くのにいいかも知れません。
だから、雲の貴布?に書いたような聞き間違えが起こります。
ただ、
だからいつも、気持ちは全世界を見ているのだと堀内さんは言う。
「バーゼルという都市で行われたカーニバルのエピソードを放送したら、長い長い手紙をくださったリスナーがいました。その方の青春時代がよみがえった、と。それこそが喜びですよね。人生という旅路の思い出の扉を開く、小さなフックになれる。作り手の知らないところで豊かな時間が流れているのでしょう」
http://www.asakyu.com/anohito/?id=53
というくらいだから、全部が全部、分かりにくい「言葉の遊び」ということではなさそうです。しかも、ていねいな取材をしての原稿作成のようです。
番組の構成は大変に似ているけれども、単純・素朴な内容の、キユーピーバックグラウンドミュージックのナレーションとは対照的だということになります。
詩集が出版されているようです。
amazonで買える…かな。
長時間もの。
偶然にも、最初のナレーションが、上述の「ギラルデリー・スクエア」です。