2017年05月30日

ハイブリッド車はどうして高速道路で燃費が良くないか

 「アクアの燃費〜高速道路」で、通常の燃費30km/Lに対して高速道路を走行したら25km/Lになったのに、「期待以上の燃費」と書きました。

高速道路燃費.jpg

 高速道路ではハイブリッド車の燃費は普通のガソリン車と同じ(くらい)だということを知っていたからです。(エンジンは、アトキンソンサイクル・エンジンという、パワーよりも燃費を重視したエンジンを搭載)

 私は、今のアクアでハイブリッド車は3台目です。1・2台目はどちらも、初代エスティマ・ハイブリッドでした。エスティマ・ハイブリッドでは、ナビのディスプレーにハイブリッドシステムの動作状況が表示されていました。

hybridモニター.jpg
(モニターも最初期のもの)


 これで、高速道路走行のときには、モーターは使っていないことが分かりました。ガソリンだけで走るので普通のガソリン車として走ります。
 実はこのモニターは一般ユーザーのためのものですので、あまり厳密ではありません。例えば、後輪は4WDとして走行する場合にのみモーターで動くのですが、実際には通常の走行でも駆動というよりも、文字通りの足手まといにならない程度に弱い力で回転していたようです。

 それはさておき、高速走行中にはほとんど充電も行われていませんでした。
 私が想像した理由は2つあります。
 一つ目は、エンジンの駆動力を全て走行に用いること。ただし、何らかの理由でバッテリーの残量が減っていれば、少しずつ充電にも使っていたと思います。
 二つ目は、定量までバッテリーが充電されれば、それ以上充電をしない(過充電になるので)ということです。
 エスティマ・ハイブリッドのバッテリーは、車重に対して、比較的小さな容量でしたので、バッテリーのみで走行できる距離は通常の道でも僅かでした。高速道路だったら1分くらいで使い切ってしまう(といっても勿論0%というわけではありませんが)と思われます。
 ハイブリッド車は、プラグインハイブリッドでない限り、フットブレーキ使用時や下り道でのエネルギーの放出を発電に回して電気エネルギーに変えて蓄電し(=回生)、それを後でモーターの回転にして使い、その分、ガソリンの消費をおさえようという原理です。

 さて高速道路の走行を考えてみます。普通はブレーキも使わないし平坦でも空気抵抗などのために上り坂を登っているのと同じ状況(ガソリンエンジンを使用)で、またバッテリーの蓄電容量も限られているという状況では充電ができません。(高速走行中もどんどん充電をするというプリウスに関する記事を読んだ覚えがありますが、それも容量以内の場合に限る。)

 また、モーターが100km/Lという回転に対応できる物だったのかどうか…これは、分かりません。後輪はトランスミッションなしでダイレクトに回転数が伝わるので、低速回転から高速回転まで同じようなトルクで回るという電気モーターの特性があるとしても、それに耐えられたのかどうか、そんな課題があったのかも知れません。(アクアには後輪のモーターはありませんが。)

 ハイブリッド車では、万一蓄電量が減ったときには、下り坂やフットブレーキを使用しないときでも、エンジンの回転力を駆動と充電に適切に分配し、充電に積極的に用いるという仕組みがありますが、仮に高速道路でモーターを意図的に使い、蓄電量が減ったらエンジンの回転を蓄電に使うとすると、その間のエンジンの走行力が減ってしまいますし、エンジンによる発電のエネルギー効率は100%ではないので、エネルギーは無駄になってしまうという問題もあるでしょう。本末転倒だと言うことです。
 ハイブリッド車でのエネルギー回生の効率は、実は30%程度だと読んだ記憶があります。

 長々と、そしてかなり私の想像主体で書きましたが、ハイブリッド車はその原理や現状の構造からは、高速道路のような一定のスピードで走行できる環境よりも、ゴー・ストップを繰り返す市街地の走行で、通常のガソリン車よりもガソリンを効率よく利用できる車と言えると思います。
 また、適度なアップダウンがあることで、下り坂での回生ができますので、同じような環境をガソリン車で走るのと比べると効率よく走行できます。

 アクアは初期のエスティマ・ハイブリッドと比べて、ハイブリッド・バッテリーは小さいのですが、もちろん車重も軽く、比率で言えばバッテリーの効率は良いので(発電システムも改善されているはず)、通常の道でのモーター走行は遙かに長い距離を繰り返し行ってくれます。
 
 ハイブリッド車が市街地走行に向いているといっても、あまりに渋滞やゴー・ストップの繰り返しの多い環境では、バッテリー消費が多くで充電のためのエンジン回転(=ガソリン消費)があます。
 従って初期エスティマ・ハイブリッドでは、(燃費上は)渋滞に弱かったのです。
 しかし、「アクアの燃費〜高速道路」にも書いたように、アクアでは渋滞の中で何度も(30分くらいでした)ゴー・ストップを繰り返しても、「ちょっと前進」の場面ではモーターを使わずガソリンの消費がなかったので、燃費はそれほど悪くならなかったようです。

 ガソリン消費という点で大幅に改善されているアクアに乗って、走行をなかなか楽しめています。

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追記(2017/06/01)
 ここに書いたのはあくまでもトヨタ車、しかも正確には2車種に乗ってきての経験を中心に書きました。
 同じトヨタでも事情の違うハイブリッド車もあるようですし、メーカーが違えば設計思想が大分異なるようです。

posted by kewpie at 10:27| Comment(0) | TrackBack(0) |
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