2018年03月07日

「ファースト・コンサート」CD

 「atルイード」に先立って、予約をしていた「ファーストコンサート/愛をあなたに」のCDを手にすることができました。

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 紫色のレーベルは、テレサ・テンの好みを反映させたのでしょうか。
 全曲が入った「完全版」です。(旧版は、レコードを模した味気ないものでした。)

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 ファーストコンサートの数少ない写真ですので、ライナーノートの写真は貴重です。どんな顔つきでコンサートに臨んだのかは興味があります。

 ジャケットの写真で表情が見えます。

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 緊張気味? 最後には涙、涙の締めくくりになります。

 ライナーノートは、コンサートの内容を知るのに重要です。

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 ただ、読んでみると抽象的な、しかも主観的なことしか書かれておらず、記録文書としては大変にものたりないもので残念です。

<解説>
 歌にも歌手のキャラクターにもメリハリの強い“原色”が年とともに増えている時代である。そういう猥雑なカオスの中にあって、テレサ・テンのようなシンガーの存在はきわめて珍しい。色でいうならソフトな“中間色”である。どんなタイプの歌とも抵抗なく融け合い、新しい色にまとめていく。一見、無個性に見える個性といったらいいだろうか。器用、というよりはむしろ彼女のペースが“自然体”なのだという気がする。曲の素材に出会う前からカラーを持つのではなく、白いカンバスのままで絵の具(曲の素材)を待ち受けているといったところに彼女の特質があるといえそうだ。
 それだから、テレサ・テンの歌は中間色を帯びながら、微妙に違った、さまざまな表情を持つ。日本的な表情、中国的な表情、そしてまた欧米的な表情……と。ひとくちにいえば“玉虫色の歌手”といいたくなるようなところがある。
 テレサ・テンの歌には女のやさしさがあり、女の温かさがあるとよくいわれる。的確な表現である。それは中間色の持つやさしさや温かさにそのまま通じている。日本人は中間色が好きだという。そして、中間色は飽きられないという。だから、彼女の歌には飽きがこないというファンが多いというのもうなずける。その上、彼女の歌には“玉虫色の変化”がある。飽きさせないわけである。中間色の仕上がり具合い、玉虫色の変化のし具合いを1時間半のステージでどう感じさせてくれるのか? 筆者にとってはテレサ・テンのファースト・コンサートの見どころ、聴きどころは実はそのあたりに大きなポイントがひとつあった。
 オープニングは、フォーク・タッチのしみじみとした最新曲の「ふるさとはどこですか」だ。森進一、千昌夫、高島忠夫、佐々木つとむらテレサ・テンのかくれたファンたちが、スライドで映し目されたテレサ・テンのプロフィールに向かってテープによるお祝いのメッセージを贈った後、つまり、すでに下地としてムードが漂い始めたステージだった。オレンジ・シャーベットのカクテル・ドレスがいかにもテレサらしい清楚さを作り出す。「私のふるさとは……やさしいお母さんであり、そして……歌です」という挨拶をはさんで「空港」「女の生きがい」「雪化粧」とヒット・レパートリーを。いつになくサビの部分が熱っぽく響きわたる。
 前半のハイライトは歌による日本縦断の旅だった。「長崎は今日も雨だった」「五木の子守唄」「中国地方の子守唄」、ハッピを着ての「木曽節」「旅姿三人男」「花笠音頭」「襟裳岬」、とメドレーでつづって行く。「中国地方…」ではテレサ独特の優美なものが存分にあふれ、「襟裳岬」では意外なほどダイナミックで切れ味の良い唱法を聴かせるといった具合いに、彼女の歌手としての幅広さが自然な形で伝わる。
 会場のヤクルトホールは立ち見客もかなり出て超満員。10代から50代までの男性、30代から60代の女性、こどもと主婦を中心にした家族づれと実に幅広い客層で、そこにテレサ・テンの幅広さと“中間色”の強味がいやでも示された感じだ。20代、 30代、 40代の男性がステージに近づいてこの夜のヒロインに花束を渡す光景が間断なく続く。これじゃ、彼女のレコードもよく売れるわけである。
 第2部のスタートは“本邦初公開”の超ミニスカート姿だ。ラメが入った黒色だが、実に見事な脚線美、歌い終わるごとに恥ずかしそうに膝をかくそうとするしぐさが妙に色っぽい。その珍しいコスチュームで「スピーディー・ゴンザレス」「オー・キャロル」「悲しき雨音」「悲しき16才」「恋の売り込み」「カラーに口紅」とオールディーズ・ヒット・ポップスを6曲。
 そして黒っぽいチャイニーズ・ドレスに着替えて、フォー・ワンス・イン・マイ・ライフ」、「フィーリング」をソツなくこなして、いよいよ後半へ。先ずはガウ・サン・チン(高山青)」と「何日君再來」の中国語2曲で、エキゾチックなやるせないムードをステージいっぱいにかもし出す。「演歌、歌謡曲歌手」のテレサ・テン、「ポピュラー歌手」のテレサ・テン。「中国人歌手」のテレサ・テンと“3つの顔”が巧みに使い分けられた。そのいずれもが何ともいえない味を出す。変りぎわがほとんどぎこちなさを感じさせないのが、また不思議なのだ。
 そしていよいよ最後の大詰めに向かって「アカシアの夢」、「夜のフェリーボート」とたたみ込むように歌い継いで、フィナーレは再び「ふるさとはどこですか」。
 席を立つ者はなく、拍手は鳴りやまない。多彩にわたったプログラムのボリュームに酔いきった感じだ。「お礼……何いっていいかわかりません。これからも日本……歌っていきます。……これからも一生懸命……涙ながらにたどたどしい日本語で、精いっぱい応えようとするテレサ。涙声とたたかいながら、彼女はアンコール曲 (レコードでは未収録)である「空港」を何とか持ちこたえ、歌いきったのだった。
        (解脱:阿子島たけし)

※LPレコード発売時の解説を掲載しております。


 先日作ったUNIVERSAL MUSICやJASRACのロゴを利用して、本物のレーベルを模してバックアップのレーベルを作りました。

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posted by kewpie at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | テレサ・テン
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