2018年05月05日

テレサ・テン「奇跡のデュエット」分析

 昨夜、最近テレビでときどき行われる「奇跡のデュエット」ですが、テレサ・テンの「奇跡」が放送されました。
 相手は千昌夫で、曲目は「北国の春」。それしかないでしょうね。

 こんな感じです。

奇跡00.jpg

 どんなふうにして作られたのか興味があったので、NHKホールコンサートの映像と比較した動画を作ってみました。



 まず二人の登場場面です。NHKホールコンサートの映像(右下。以下、NHK)にはもちろんそんな映像がありませんし、姿も小さいので使えません。奇跡のデュエット(以下、デュエット)もモデルさんを小さく映し出して誤魔化します。

奇跡01.jpg


 ところで、テレサ・テンの身長は165cmでした。千昌夫は170cmだそうですから、この映像ではサイズの設定を間違えているように思います。年齢を重ねた千昌夫がやや猫背なので、それも考慮してのサイズ設定でしょうか。

 さて、ほとんどそのまま、堂々と使える場面。

奇跡02.jpg


 NHKのことを知らない人は、「本物そっくり」などと誤解をしてしまうかも知れません。本物です。(笑)
 クロマキー(?)で、背景の飾りなどを合成しています。NHKはほとんど真っ暗なので比較的作業をしやすかったのではないでしょうか。
 マイクは千にも同じものを持たせる必要がありますが、さすがに当時と全く同じものが用意できないので、はめ込み合成です。元のマイクと同じサイズ・角度の映像を用意しなくてはなりませんが、カメラの動きがないので、作業は比較的楽だったはず。とはいえ、冒頭にちょっと動くシーンもありますが、見事に処理しています。

ペア・マイク.jpg


 今度は、合成か創作かよく分からない場面です。姿はNHKに似ていますが、首から下は全部創作…というか、モデルさんでしょうね。頭部も創作ならば元の映像にこだわる必要がないので、頭部だけは本物でしょう。

奇跡04.jpg


 できるだけ背格好の似ているモデルさんを選んだのでしょうが、何か不自然(テレサ・テンとは違う)です。薄紫色のチャイナドレスはかなり違います。同じ柄の布地は入手できないのは仕方ないにしても、NHKでは着用しても最下部が絞られていますが、デュエットではだらんとまっすぐに伸びきっています。このページ冒頭の写真でも同じことが分かります。
 さらに、足の開き方です。テレサ・テンは(実は、多分珍しいことですが)左右に足を広げて踏ん張っています。デュエットのモデル氏は、何と足が離れてます。(内股?)
 テレサ・テンの足の配置で良く目にするのが、足を前後、逆ハの字に並べる姿勢です。多分これは脚を細く見せる効果を意識しているものと思いますが、自信のなさそうなハの字配置はもちろん見たことがありません。



 さて、次です。アングルを変えるためのシーンですが、このサイズ・アングルのNHKの映像はないし、これだけのサイズだとモデルさんの顔がもろに見えてしまうので、手前の花で誤魔化したわけです。
 同日の放送で行われた、氷川きよしと美空ひばりのデュエットでも同じ手法を使っていました。
 花の隙間から顔が見えますが、誰の顔かは分かりません。服装やドレッドヘアに誤魔化されてテレサ・テンだと錯覚してしまう人もいるでしょう。

奇跡03.jpg


 そして、安心して見られるシーンです。
 合成シーンでは、現在のハイビジョンの解像度の映像の中に、NHKのときのDVD並みの解像度の映像を組み込むので違和感がありますが、単独だとその意味での違和感が減少します。(背景もピントを合わせないので)

奇跡05.jpg


 次。足の様子がよく分かります。NHKでは左足は前向き、右足は右向きで逆ハの字。引き締まった印象の配置です。デュエットのモデル氏は相変わらずの内股(ハの字形)です。(普段は気をつけているのでしょうが、歌を歌うとなると足の配置を忘れたのかも。) チャイナドレスの陰のでき方にも影響しますが、NHKでは強いスポットライト、デュエットではそれと比べると柔らかな光なので、チャイナドレスの下に少しだけ見える足がデュエットではストッキングが真っ黒に見えます。

奇跡06.jpg


 さらにテレサ・テンの胸は、デュエットのモデルさんほどふくよかではありません。手の曲げ方までオリジナルを真似ていて、苦労がうかがえます。

 次。NHKにはないアングルです。作るのは大変だったと思います。モデルさんだけで作って、顔はCGでしょうか。

奇跡07.jpg


 さて、実はこの後にもう一つ、誤魔化し(というと表現が悪いですが、トリック)があります。
 NHKではこの後に中国語でテレサ・テンが歌います。千昌夫が中国語でも歌ってくれればそのシーンも作れたのでしょうが、それはできなかったようです。NHKの中国語の歌唱シーンはカットして、次へ進みます。
 以降、NHKとデュエットが大きくずれてしまうので、動画でもカットしました。

 次。向きを変えて変化を付けています。

奇跡08.jpg


 ほっとするカット。

奇跡09.jpg


 いよいよ終盤です。制作スタッフさんの気が抜けてしまったのでしょうか、モデルさんの腕の形(広げる向き)がNHKと違ってしまいました。NHKと時間軸に沿ってぴったり合わせる必要もないのでしょうが、それよりもこういう腕の形をテレサがしたことがあるのかどうかということです。
 腕を広げる(しかも手首から先がだらんと下がっている)ことで、身体の幅が広く見えてしまっていますが、NHKの方は比べてぐっと引き締まっています。特に下に行くほど細くなっていて、美しいシルエットです。

奇跡10.jpg


 何だかんだと書きましたが、スタッフやモデルさん、千昌夫さんも、映像作成に当たってはかなり苦労をしたことと思います。
 ただ、こういうものを作るときには純粋に「技術的に優れたメンバー」だけでなくて、「技術はなくても詳しい人」…今回のケースではテレサのファンに監修をしてもらえれば、さらにリアルなデュエットが実現したのではないかと思うのです。

 モデルさんのドレッドヘアの用意も大変だったでしょう。(テレサ・テンは4時間かかったとのこと。)
 音声はNHKのライブでも、ボーカルのみ、演奏のみのものが残っていたのか、それとも分離したのか…等々、全く分からないこともあります。きっと様々なご苦労があったことと思います。
 単に過去の映像を流すのではなく、こんなに大変な企画を行ってくれたテレビ朝日に感謝します。

 さらに今回の「比較動画」を見て思ったのですが、無理に合成画面を作り出すのではなく、別の画面を並べた「時空を越えたデュエット」でもいいのではないかと思いました。そちらの方が、わざとらしさがないように思います。

別館:On Teresa Teng

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追記(訂正) 2018/05/13
 テレサ・テンの持っているマイクは映像上の合成だと思いましたが、バーチャル・デュエット分析(2)の映像を見ると、どうやら当時と同じものが現在も存在しているようです。あるいは、そっくりなものを作ったのでしょうか。
 ただ、このシーン。

奇跡09.jpg


 全く同じ映像なのに、マイク自体の反射や根元のケーブルコネクターの色(明るさ)が違います。どうしてでしょう。





posted by kewpie at 17:39| Comment(0) | TrackBack(0) | テレサ・テン
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