♪夕焼け小焼けで日が暮れて

「夕焼け」は分かりますが、そもそも「小焼け」って何なのでしょう。歌独特の、韻を踏んだ言葉の遊びですよね。もっともこれを利用して、ルイードでのテレサ・テンのおしゃべりにも出てくる松鶴家千とせのセリフ「弟は小焼けだった」にうまく使われているわけです。
意味がないので、「小焼け」の部分は英訳不要です。(ウィットを効かせた英語の造語ができれば良いのですが・・・。)
♪山のお寺の鐘が鳴る

私にはこの「山のお寺」が分かりません。「海辺のお寺」でないことは分かりますが、山奥のお寺なのでしょうか。この歌を歌っている人の立ち位置との関係は? 自分も山奥にいて近くに(したがって山奥の)お寺があるのか、それとも自分は山奥でなくて、お寺だけ山奥なのか。そんな遠くから鐘の音が聞こえるでしょうか。
ということで、私はこの「山のお寺」を、山の麓に立つ自分からちょっと見上げた山の中腹に姿の見えるお寺というイメージで英訳しました。
♪お手々つないで みな帰ろう

これは特に問題なし。
♪カラスと一緒に 帰りましょう

子どもたちがあるくすぐそばをカラスが低空飛行して一緒に帰るわけではありません。そこで「カラスもねぐらに帰ることだし、私たちも帰ろう」という雰囲気になるように、「一緒に」を英訳に含めませんでした。
tooをつけることで「カラスも帰るよ、私たちも帰ろう」と、その雰囲気を出したつもりです。(自己満足か。)
最後の「帰りましょう」は、すぐ前の行の「帰ろう」に続いて2回目繰り返されているのですが、ここはカットしました。
幸か不幸か、テレサ・テンは2番を歌わなかったので、私も英訳をせずに済みました。
こんな簡単そうな、誰でも知っている童謡ですが、いざ英訳をするとなると大変です。
なんと山岸勝栄さんも英訳をしています。
さすがに状況を詳しく描いていますが、その結果、文が長くなって童謡の単純な歌詞という雰囲気ではなくなっています。
私が迷った「山のお寺」はthe mountain templeと、うまく切り抜けて(?)います。