アグネスに追いつけ追いこせ
“新人賞”期待・・・
テレサ・テン(歌手)
おかめ型というのは、純日本
風美人の典型、彼女の場合は
まさにピタシ。ウチの隣にもい
そうな、カワイコちゃんだ。
どう? 忙しい――なんて、
つい日本語で話しかけてしまう
とてんでキョトンとしている。
ついで出てくるのが、まこと
に流暢なキングズ・イングリッ
シュで、今度はこっちがキョ
トン。
彼女、欧陽菲菲、アグネス・
チャンにつづく中国系シンガ
ー。テレサ・テンは漢字で書
くと、ケ麗君となる。
“歌星ケ麗君昨離港”(スター歌
手テレサ・テン昨日香港を離れる)、
“王女歌星返台”(歌う女王台湾
に帰る)――といった調子で、
香港、台湾などではすでに大
変な人気。一九五五年一月二十
九日生れ、十九歳。生まれは台
北だが、香港、台北を中心に、
シンガポール、ベトナムなど、
東南アジアでも活躍。十五歳で
デビューして、四年のキャリア
で、すでに二十枚のLPを出し
てるというからすごいのだ。
現地では菲菲ちゃんの十倍は
かせぐといううわさもある。
そのテレサ、日本に乗りこん
での第一作が三月一日に発売さ
れた「今夜かしら明日かしら」。
キングズ・イングリッシュふ
う日本語で歌う彼女、アグネス
よりも、ちいっと大人のムード
である。
今夜かしら、明日かしら・・・
と心の騒ぐ相手はいるのか?
と問えば、
「わたし、日本に来てまだ、だ
れも知らない」
そりゃそうだ。なにしろ、日
本に来て、まだ一か月しかたっ
ていないんだから。
しかも、来日そうそう三月は
テレビだけで四十五本の出演。
クラブ中心だった東南アジアで
の仕事と違ってテレビ中心の日
本の仕事に、いささかとまどっ
ているようす。
逆に、日本側のスタッフも、
テレサの中国的ペースに、いさ
さかとまどっているようす。
たとえば食事。ゆったりとテ
ーブルにつき、全員がそろわな
いと食事をはじめない。これが
彼女の国での礼儀なのだ。
テレビ局をかけまわる間に、
手近な物をかっこむという人
気スターペースが当たりまえ、
というスタッフは、まず、これ
で調子が狂っちゃう。
「それに、若いからネ。また、
よく食べるんですよ」
とマネジャー。
おまけに好物が茶わんむし。
これは時間がかかる。
「ちょっと、こっちへ目線くだ
さい」
とカメラマン氏が言っても、
キョトンとしている。
日本語がわからないせいもあ
るが、香港や台北では、カメラ
マンが来ても、一発パチリと
撮って終わり。
日本のカメラマンは、裏から
表から上から斜めから、やたら
撮るから疲れちゃうそうだ。
現在は、ホテルで母親と二人
でくらしている。
次のページを読み始めて、あれっ?と思いました。急に競馬のことになっていたのです。どうやら出品者が1ページ飛ばして写真撮影をした、切り取ったページの裏を撮影したようです。
ということで、これ以上、読むことはできません。
全般に好意的な書き方です。
こういう記事が書かれても、消えていく歌手や芸能人がほとんどなのでしょうが、これを書いた記者は、数年後に大人気歌手になってどう思ったことでしょう。

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追記(2019/02/27)
記事の残りの部分が見つかりました。
→ 『平凡パンチ』昭和49年3月25日号〜雑誌等の記事(14)
別館:On Teresa Teng