「令」の文字で思い出すのは「命令」の意味です。他には、「令子」という名前でお馴染みですが、「命令」以外の意味は何なのか、また訓読みは何なのか、正直なところ私は知りません。
その意味で馴染みのない文字のような気がします。
さらに私が危惧するのは、その文字そのものです。
以前にも当ブログで何度か話題にした「字形」と「字体」、さらには「書体」の違いを理解していないと、「どちらが正しい?」などという疑問を持ちやすい漢字なのです。
さらに私が「あれっ」と思ったのは、管官房長官が掲げた手書き文字です。

「令」の4画目・5画目が、一般的な手書きの楷書などと異なることです。(ちなみに和の3画目も跳ねています。これは間違いではないのですが、小学校などでは一般に跳ねないと教えられていると思います。)
いわゆるゴシック体や明朝体のような字形で書かれており、手書きの字形と異なります。
さらによく見ると、最後の5画目が跳ねていますが、これが認められるのでしょうか。
これをお手本として、手書きなのに楷書のような字形で書かない人が増えてしまうのではないかと思っています。さて、どうなることでしょう。
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追記
私と同じ疑問を持った人が少なくなく、NHKのニュースとしても扱われたようです。
新元号 「令」の字に複数の形 どれが本当?https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190401/k10011869751000.html
2019年4月1日 18時21分
新しい元号の「令和」の「令」の字は、パソコンなどの書体によって字の形が異なることから、書体を開発している会社では、顧客からの問い合わせへの対応について検討を始めています。一方、文化庁は正解や決まりはないと話しています。
東京 新宿区でパソコンなどに使われる文字の書体を開発している会社によりますと、「令」の字は書体によって形が異なっていて、
主に▼3画目が横棒、5画目が縦棒とする書き方と、
▼3画目も5画目も斜めの点のようにする場合があるということです。
この会社では、およそ1500種類の書体を取り扱っていて、新しい元号の発表を受けて、書体のデザイン担当の社員たちが集まり、「令」の字が書体によってどのように異なるか確認していました。
そのうえで、顧客から問い合わせがあった場合の対応について、形は異なっても同じ字なので問題ないことを説明することや選択できるようにしたいという要望があった場合には、特注で対応が可能なのかといったことについて検討を始めていました。
書体を開発する「モリサワ」のフォントデザイン部の阪本圭太郎課長代理は、「今回、『令』の字が新元号に使われることで、字の形が異なっていることに注目が集まっている。今後、顧客からの問い合わせを想定して対応できるようにしておきたい」と話しています。
文化庁 指針「正解や決まりはない」
「令和」の「令」という字について、部首の「ひとやね」の下が「横棒」なのか「点」なのかなど、形の違う複数の書体があり、速報したテレビの各局でも異なる書体が使われたため、ネット上では「どれが本当なのか」などと書き込みが多くなりました。
小学校では「令」の漢字を4年生で教えることになっていて、学習指導要領では、「ひとやね」の下は「点」とカタカナの「マ」を標準として指導するとされています。
文化庁によりますと「令」の字の形については、正解や決まりはなく、形が多様な漢字の代表的なひとつだとしていて、平成28年に出された指針では、「字の形の違いは習慣によるもので、本来は問題にする必要がない」と明記しています。
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追記(2019/04/08)
「令」の字形は2つどころか6つもあるそうです。