2020年05月01日

知らなかった言葉(1)

 先日の「地先」に続いて、また「知らなかった言葉」に出会いました。もちろん、私が知らない言葉なんて数え切れないほどあるでしょうが、世の中の平均的な人がみな知っているであろうに私が知らなかった、という、そういう意味での「知らなかった言葉」です。

只管.png

 只管という2文字では、音読みになりそうですが、「只」の音読みを知りません。

 たどり着いたのは、「ひたすら」という読みです。それなら意味も分かります。同じ意味で、別の漢字として「頓」「一向」もあることが分かりました。

 只管をwebで探すと、「只管朗読」「只管打坐」などの言葉が見つかりますが、さすがに「ひたすら・ろうどく」「ひたすら・だざ」ではありません。
 「しかんろうどく」「しかんだざ」です。

 ところが「しかん」では広辞苑にも出ていません。漢和辞典でようやく「只管―シカン・ひたすら」を見つけました。

 ずばり、「ふりがな文庫」という名前のサイトがありました。



 使っているフォントの品が良すぎて(?)読みにくいですが、以下の内容です。
“只管”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな) 割合
ひたすら 96.0%
ひたす 3.0%
いたずら 1.0%

“只管”の意味
《形容動詞・形容動詞》
(しかん:宋代の中国語より)ひたすら、〜だけをする。
「ひたすら」の漢字表現。明治期から戦前にかけ多く用いられる。
(出典:Wiktionary)

 当て字…ではなく、当て「意味」という感じです。「あさって」という語に対して、「明後日」を本来の「みょうごにち」に加えて「あさって」と読ませるのと同じケースでしょうか。

 ところで、「ひたすら」に対してなぜ「只管」という漢字が使われてるのか。

 マナラボというサイトに、説明がありました。
「只」という漢字には「ただそれだけ」という限定の意味があります。一方、「管」という字には「細長い筒」という意味があり、一見「ひたすら」という言葉には関係がなさそうです。しかし、「官」の部分が「貫」に通じており、「貫く」という意味を持っています。

昔は竹などを貫いて、笛などの細長い筒状のものを作っていました。そこから「管」には「竹などを貫いたもの」という意味で筒状のものという意味となったのです。さらに転じて、「最初から終わりまで一貫してものごとをやりとおす」というイメージで、「ひたすら」という言葉に当てられたのだと考えられます。
https://docoic.com/52001

 このページでは、実際の使い方もかなり詳細に説明されています。
 例文もあり、
「許してもらえるまで、只管彼女に謝り続けた」
「夏休みはどこにも遊びに行かずに、只管受験勉強をしていた」
と紹介されていますが、日本語の性質で、「只管彼女」「只管受験勉強」とくっつけて読みたくなるので、「ひたすら」という読みの場合は、「只管に」とした方が読みやすいでしょうし、そもそも「ひたすらに」とした方が、さらに多くの人に受け入れられるのではないかと思います。

posted by kewpie at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 言語・文字
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