『淡淡幽情』の1曲だということだけは知っていましたが、歌詞の内容は知りませんでした。短い曲でも有り、動画を作ってみることにしました。
映像は『淡淡幽情』用のテレサ・テン自身のコスプレ(?)映像と、十億個掌聲のものがあったので、あまり深い意味もなく、2つを合成したものにしました。
英訳は2個所で見つかりました。一つは歌詞の翻訳サイト。
https://lyricstranslate.com/en/...-eastward.html
When is the spring flower and the autumn moon going to be over,
How much do we know about the past.
There came the east west to my small chamber last night again,
I could not bear to look back to my native land in the clear moonlight.
Carved railings and jade inlays should still be there,
Only their beautiful appearance have changed.
If you ask me how much that I worry,
It's just like a river in the spring flowing eastward.
もう一つは、YouTubeにアップロードされた動画自体に、英訳の字幕を埋め込んであるもの。
テキスト化してみました。
When will there be no more moon and spring flowers
For me who had so many memorable hours?
My attic which last night in vernal wind did stand
Reminds cruelly of the lost moonlit land.
Carved balustrades and marble steps must still be there,
But rosy faces cannot be as fair.
If you ask me how much my sorrow has increased,
Just see the overbrimming river flowing east!
2つの英訳を足して2で割ったような英訳と、さらに日本語訳を書いてみました。
When will autumn with the moon and the spring with flowers end?
花の春や月の秋が いつ終わるというのか
How many memorable years I've had!
これまでの思い出の 何と多いことか
I had east wind again at my little attic last night
昨晩 楼閣には東からの風が吹いてきて
It cruelly reminded me of my moonlit homeland
月光に照らされる故郷のことを 耐えがたく思い出した
Carved balustrades and jade blocks must still be there
彫刻された欄干や玉石の石段は まだそのままだろう
But my rosy face does not stop fainting
しかるに私は 顔の色も衰えてしまった
I ask myself how much sorrow I will have to bear
これからどれほどの愁いに 私は耐えなければならぬのか
It is just like the spring river flowing east
きっと 東に流れる春の大河のごとく尽きぬだろう
日本語訳も見つかりました。
虞美人
春の花から秋の月へと巡る季節に、いつか終わるときがあるだろうか、いやありはしない
昔日の思い出はどれほど多いことか
昨夜楼閣ではまた故国のある東の方から風が吹いてきた
月光の中に映る故郷は振り返るに堪えない
彫刻した欄干や玉石の階段で飾り上げた我が金陵の宮殿はまだその姿を留めているだろう
ただ、この私は容色も衰えて年老いてしまった
自問自答する「一体この私にはこれからもどれほど多くの愁いがあるのだろうか」と
それはあたかも、長江の春水が常に東に向かって流れるように滔滔と尽きることがない
https://igasanjin.muragon.com/entry/429.html
以前にも、歌の解釈で何度か勉強させてもらった伊賀山人さんのページです。中国語自体だけでなく、文学や歴史にもお詳しく、和訳も原文に忠実丁寧でありながら、さらに分かりやすく言葉を補ったものです。
これをそのまま使わせてもらうのが一番簡単ですが、動画の字幕にするには余り長くては読み切れませんし、自分なりの訳を作るのも面白いので参考にするに留めました。
それにしても、この詞の背景、作者の李Uがどういう人だったのかを知らずに2つの英訳から内容を推測していましたが、「愁い」の重みが違いました。そして別のサイトで、この李Uは金陵の都から連れ去られた後、2年後には毒殺されてしまったとか。
同じ李Uの詞で『淡淡幽情』に集録の「獨上西樓」も年賀ビデオ用に編集しましたが、今になると、もっと背景や人物を調べてから和訳を書けば良かったと後悔しています。
そして旧暦正月にアップロードしようと思っていて、アップロードを忘れていたことに気付いて、「幾多愁(虞美人)」に続けてアップロードしました。