2022年07月06日

『望春風』〜「四月望雨」(1)

 『望春風』という歌をテレサ・テンが歌っているのは何度も聞いてきましたが、歌詞も確かめず、単に「数多くの歌の一つ」として聞いていました。台湾の人にとってはちょっと特別な曲のようです。


 たまたま、次のような紹介を読みました。
今なお愛される「望春風」
「地下国歌(隠れた国歌)」とも呼ばれ、人々に歌い継がれてきた名曲が「望春風」だ。この曲の作詞は李臨秋、作曲はケ雨賢。日本統治下の1933年に純純(本名:劉清香)が歌い大ヒットした。2000年に台北市政府と大手新聞社の聯合報が共同で主催したイベント「歌謡百年台湾」では、22万人の市民が参加した投票で圧倒的支持を集め、「懐かしのメロディー」部門の第1位に選出されている。台湾の人々の「心の歌」と言ってよい。日本の楽曲で言えば、文部省唱歌の「故郷(ふるさと)」(作詞:高野辰之、作曲:岡野貞一、1914年)のような存在ではないかと筆者は常々考えている。

さて、日本の読者のために「望春風」の歌詞を紹介しておこう。民間で伝承されているバージョンでは、歌詞の一部が別の言葉に置き換わっているところもあるが、もともとの李臨秋の原詞は以下の通りである(和訳は筆者)。

獨夜無伴守燈下  清風對面吹 / 独りの夜 灯火の下 清風が吹き抜け
十七八未出嫁  見著少年家 / 十七、八の嫁入り前の娘が 青年を見初める
果然標緻面肉白  誰家人子弟 / 色白の美男子の君よ どこの家の御仁なの
想要問伊驚歹勢  心內彈琵琶 / 恥じらい問えぬ心に 琵琶の音が響く

想要郎君作尪婿  意愛在心裡 / あの御仁が旦那様なら その想い心に秘め
待何時君來採  青春花當開 / いつあなたは青春の花 この私を摘んで下さるの
忽聽外口有人來  開門該看覓 / ふと聞こえた来客の気配 扉を開けて確かめれば
月老笑阮憨大呆  被風騙不知 / 恋の神様 あきれて笑う それは風のいたずらと

自由恋愛が一般的でなかった時代に、切ない乙女心を見事に描き切った李臨秋の才覚には舌を巻くしかない。台湾語による新しい時代の新しい歌の出現に、当時の人々は衝撃と喝采をもってこの作品を迎え入れたのだった。

https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g02160/

English translation
At night waiting alone under a dim lamp, with the spring breeze blowing on my cheeks,
I, an unmarried maiden of seventeen going on eighteen, see a young man.
I see he has a handsome face and a pale complexion; I wonder which family he is from?
Wanting to ask him yet fearing embarrassment, my heart flutters as if it were a pipa being strummed.

Wishing him to be the groom of mine, with love inside my heart.
Waiting, wondering when my beau might come to gather my blooming flowers of youth.
Suddenly I hear someone outside, and I open the door to see,

https://en.wikipedia.org/wiki/B%C4%81ng_Chhun-hong

 もうちょっと、「しっとり」と歌ってもいいのかも知れないが、テレサ・テンは多くの歌唱のように、楽しそうな雰囲気で歌っています。

 地下国歌だということで、一青窈も歌っていました。


 そして、ジュディ・オングも。



 
posted by kewpie at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | テレサ・テン
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