「スコラ」1985年1/1 No.65でした。
スコラといえば、以前「文面に品がないこと(笑)」と私自身が表した雑誌です。
モノクローム・トーキング・ジム
楊貴妃の面影香る曲線美
テレサ・テン
超ロングラン・シングル『つぐない』が売れているのだ。テレサ姉貴は
ジャパンと東南アジアを艶歌でブリッジする!!
文 伊藤隼也 スタイリスト&ヘアメイク ポール・モッグ
なぜかスコラはテレサ・テンなのである。
今、売れ筋のアイドル歌手なんかじゃ、もち
ろんないわけで、年齢だってそこそこイイ線
いった姉貴であるし……。でも、それでも、
どっか気になる女性なのである。
どう気になるかってえと、その存在感、
生き方のようなものが、といえばいいのかな、
姉貴は実は、10年も前になるけど、このジャ
パンで大活躍していたアイドル歌手だった。
覚えてるかな『空港』なんていうのが大ヒッ
トしてたよな。でもビザ(入国査証)の件で
もめて国外追放(だったっけ?)になっちゃ
ったのである。そしてあれから 幾星霜。今
回、見事にカムバックしたのだが、この10年
はひとりの女を僕らには考えもつかないよう
うな大きな存在にしてしまったようだ。
ジャパンだけじゃなく、中国大陸も東南ア
ジアも姉貴の歌は制覇しそうな気配とパワー
なのだ
姉貴は漢民族である。漢民族というのは、
とてつもないパワーとスケールを持っている
民族だ。歴史的な背景は異なるけれどユダヤ
民族に似て、知力にすぐれビジネスの最も上
手な人たちである。中国、台湾、シンガポー
ルのエスタブリッシュメントは例外なく漢民
族だし、同民族出身の華商は世界に冠たるロ
ックフェラー一族とも比肩すべきビジネスの
天才集団なのだ。
テレサ姉貴もその点、サスがなのである。
玄宗皇帝をとりこにした楊貴妃のごとく妖艶
な色香でもって、ジャパンを含むアジア全体
をノックアウトしてしまったのだ。むりもな
い。姉貴のそれはたとえていうなら、僕らが
戦後ずっと慣れ親しんできたアメリカやヨー
ロッパの肉食動物の妖艶さではなく、草食動
物だけがかもし出すなつかしい味わいである。
きゃしゃな彼女の体から溢れ出る色気は、
あくまでもクリスタルで、どこまでもやわら
かく、アジアの人たちがこれにまいらないわ
けがないのだ
そして、ここにあくまでもこだわったのも
彼女なりの漢民族特有の勝算があってのこと
で、たかが歌というなかれ、ビジネスとして
も立派に成り立っているのだ
これはカンだが、姉貴はここのところ、ど
こかあきらめ≠フニュアンスを体いっぱい
に漂わせているような気がする。気になるの
だ。直接聞いてみると、やはりそうだった。
テレサは昨年、大失恋したそうだ。「愛をとる
か歌をとるか」悩み抜いたあげく歌の道を選
んでしまったのだ。でも『つぐない』のヒッ
トはそこからこそ、生まれたのである。
●テレサの新曲が完成した。新曲のテーマは(●●は判読できなかった個所)
不倫の恋=Bちょっとご紹介すると、「あなた
が好きだから/ただそれだけでよい/ただめ
ぐり逢いが/少し遅かっただけ/あなたと一
緒に街を歩けさえすれば/それで幸せ―」。
一見してわかるとおり、不倫の恋とはいっ
ても狂乱の身も心もズタズタに引きさいてし
まうような恋ではなく、一歩も二歩も引いた
女心の奥底を歌っている。
そして、あのバツグンの歌唱力も、ライト
にコブシをまわさず、うまい冷麺がノドを通
過するときのようにな感じでサッパリとしてい
てよい。カルチャークラブもいいけど、たま
にはこういう●●も、おすすめだ。
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