BCI-321BK/C/M/YとBCI-320PGBK という5本からなります。
このうち、BCI-321BKとBCI-320PGBKと黒が2本もありますが、あとはCMYというシンプルな構成です。
どうして黒が2本もあるのかずっと気になっていたので、調べてみました。
まず、基本的にインクの種類が違うのだそうです。
型番 | BCI-320 PGBK | BCI-321 BK |
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種類 | 顔料 | 染料 |
写真 | ![]() | ![]() |
●顔料系の特徴
・にじみが少なく文字印刷向け、文字がとてもきれいにくっきり印刷できる
(http://club.coneco.net/user/9199/review/13274/)
・耐水性に優れる
・光にさらされても色あせしにくい
・インクの粒子が紙の表面に残り、光沢の用紙をこするとインクが剥がれることもある
(http://trendy.nikkeibp.co.jp/・・・)
・プリントヘッドのノズルが目詰まりしやすい
・コントラストが高く、黒々としたシャープなテキスト印刷が可能*
(http://cweb.canon.jp/e-support/faq/answer/inkjetmfp/12039-1.html)
*顔料系ブラックインクの場合
●染料系
・写真・イラスト用
(http://club.coneco.net/user/9199/review/13274/)
・色の再現性が高い
・光沢や発色がよい
・インクが用紙の繊維質に染みこみ、用紙を濡らすとにじみやすい
(http://trendy.nikkeibp.co.jp/・・・)
・光や空気に触れていると時間とともに色が薄くなる(インクの種類と用紙の組み合わせにより、色あせしにくくなります。)
(http://cweb.canon.jp/e-support/faq/answer/inkjetmfp/12039-1.html)
余談1
調べている内にCanonのプリンターには、「インク乾燥待ち時間」の設定というのがあることを初めて知りました。顔料系ブラックインクの「汚れ」対策を考慮しているようです。

「用紙の裏面が汚れる場合」という項目には、
「印刷品位を「速い」側に設定することによって、インクの吐出量が減りインクの乾きが早くなる」
「印刷濃度を薄くしてみることによってインクの吐出量が変わりインクの乾きが早くなる」
という記述もありました。実は前者は私が前から知りたかったことでもあります。
余談2
さらには、(ヘッドではなく)ローラーのクリーニングの機能もあることを知り、やっておきました。

2種類のインクの性質の違いは分かりましたが、私が知りたかったのは、同じ1つのプリンター内でどのように2種類のインクを使い分けているか、です。
http://club.coneco.net/user/9199/review/13274/
には、
文字印刷でも、片面印刷のときだけ顔料インクが使用され、両面印刷では染料系のインクが使われるとネットの口コミで見ました。試してみるとその通りで、片面テキスト印刷ではとてもくっきりきれいに印刷された文字が、両面テキスト印刷では少しにじんで印刷されました。顔料系インクは乾燥に必要な時間が長いためです。
と述べられています。
簡単に言えば、
片面印刷 → 顔料インク(BCI-320PGBK)
両面印刷 → 染料インク(BCI-321BK)
ということになりますが、全く両面印刷をしない場合は、BCI-321BKが使われずに残ってしまいます。
私は時々は両面もやりますが、特にBCI-321BKが残りやすいということは感じません。
多分、全くの推測ですが、
精細印刷など、発色の美しさにウェイトを置く印刷では、BCI-321BKを使いう
のではないかと、思います。
「詳細設定」に「黒のみで印刷する」という項目があります。この場合だったか、太い文字がプリンターから出てきた直後に乾いていなくて光っている時が何度かありました。もしかするとこの時には「紙の表面にインクが残って乾きにくい」顔料系が使われているのかも知れません。
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追記
Canonのサイトに次の記述がありました。
マーカーペンで文字などの印字部をマーキングした際に汚れが目立つ場合、以下の対処方法で、ある程度改善できる場合があります。
・印刷品位を「高品位用紙」に設定して印刷してみる。
印刷品位を「高品位用紙」に設定することによって、顔料インクを使用せずに黒文字印刷ができマーカー汚れを改善できます。
設定方法については、OSを確認してから、関連情報をご参照ください。
・キヤノン製普通紙SW-101/SW-201を使用してみる。
(内容略)
・マーカーペンの種類を代えてみる。
(内容略)
やはり、普通紙または高速印刷設定の場合は顔料系ブラック(BCI-320PGBK)が、高品位用紙または精細印刷の場合は染料系ブラック(BCI-321BK)が使われるようです。
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追記2
EpsonとCanonとでは、次のような違いもあるようです。
セイコーエプソンの顔料インク搭載機は、写真印刷の際に無色インクを吹き付け、染料インク並みの美しさに仕上がるようにしています。一方キヤノンは、黒インクに顔料インク、カラーインクに染料インクを搭載。はがき宛名などのモノクロ印刷と写真などのカラー印刷で、インクの使い分けが可能な製品を発売しています。(http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/qa/parts/20051109/114190/?rt=nocnt)
つまり、印刷品質の設定にもよりますが、「モノクロ印刷」指定の場合には、黒色の階調をくっきりさせるためにも、顔料系インクを使っているのかも知れません。
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追記3
http://futurewell-japan.sblo.jp/
は、Callenという、「オリジナル互換インクカートリッジ」のメーカーのサイト(当ブログと同じ、Sakuraのブログを使っています。)ですが、これを読むとプリンターやインクについてのかなりの調査・研究をし、情報を持った上で製造をしているようで、「非純正」でもメーカーによっては信頼をして使えるのではないかと思うようになりました。
純正インク→非純正インクへの切り替え時の、異種のインクの混合によるトラブルなどの対処まで考えてあるのには驚きました。
このブログ中には、キヤノンとエプソン 〜どこが違う?〜とうページがあるのですが、その中に興味深い記述がありました。
Epsonのプリンターについて、
短所
・インク気泡が発生した場合に目詰まりしやすい
とのことです。
かつて長い間、そして何台ものEpsonのプリンターを使いましたが、目詰まりが特に黒で発生しやすくて、とうとうCanonを使うようになったのですが、やはり目詰まりしやすいという特性を持っていたようです。
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追記4
古い記事ですが、
全色顔料インクの効果は?:エプソンの“普通紙くっきり”プリンタを検証する
で、染料系プリンター・顔料系プリンターの違いや技術について述べられています。
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追記5
元家電販売員が教えるプリンタの選び方には次のような記述があります。
エプソンは”全色顔料インクのみ”の機種か”全色染料インクのみ”の機種しか存在しません。
そのため顔料インクの機種(PX)を買うと文章は綺麗だけれど写真印刷はつぶつぶで黒が締まらない発色となります。
逆に染料インクのみの”EP”シリーズの場合は写真印刷は抜群に綺麗!だけど文章や年賀状印刷は滲んだ文字で淡い発色になるという一長一短が必ずあります。
対してキヤノンは”全機種顔料黒インク搭載”なのでどの機種を買っても黒の文章に関してはクッキリハッキリ印刷が可能な上、残りのカラーインクは染料なので写真印刷はエプソンと同じく抜群に綺麗に印刷してくれます!